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はじめに:ITストラテジストは本当に超難関国家資格なのか?
こんにちは、げんごにあです。
日本人は、偏差値やランキングが大好きな民族らしく、某巨大掲示板では、なんでもかんでも偏差値・ランキングのトピックが大盛況。

IT資格における「ランキング」をガチで考えてみる
IT業界は、国家資格・民間資格を合わせると、最も資格の種類が多い業界ではないでしょうか。
そんな数あるIT系資格の中でも、「最難関の座」に君臨すると言われることが多い「ITストラテジスト」の資格。
本記事では、「ITストラテジストは超難関」が本当なのか、検証を試みたいと思います。
筆者のざっくりキャリア
参考情報として、本記事を執筆している筆者が歩んできた道のりです。
人よりも、ちょっぴり回り道をしているかも知れません……
- 国立大学に進学後、落ちこぼれてしまい、研究者になるのをあきらめて、高校数学教師になる
- 教育現場の閉塞感に耐えきれず、高校数学教師から大手メーカーに転職、SEとして海外駐在も経験する
- SEキャリアを十年積んだ「集大成」として、ITストラテジストに挑戦し、一発合格
副業容認の企業へ勤務しているため、たまに家庭教師をすることもあり、エンジニアでありながら、最近の学校教育事情にもそこそこ通じています。
最終学歴は、国立大学大学院修士課程修了(成績はボロボロ)。
ITストラテジスト、TOEIC900点、国立大学(センター試験8割レベル)入試を徹底比較
TOEIC受験や大学入試なら、体験したことのある人も多いため、それらと比較すると、【ITストラテジストの難易度】が分かりやすく表現できると思いました。
それでは早速、「実情」に迫ろうと思います。
「勉強時間」による比較
筆者が実際に費やした「勉強時間」をざっくり算出して、三者を比較します。
ITストラテジストは、三ヶ月の勉強で取得。
時間に換算すると、120時間。
ただし、その「下地」として、十年間のSEキャリアという土台があったことは、無視できません。
TOEIC900点は、通勤電車の移動時間(1.5時間/日)を利用しながら、二年間の勉強で取得。
時間に換算すると、720時間。
ただし、その「下地」として、中高の英語授業や、大学受験への勉強に取り組んでいたことは、無視できません。
国立大学(センター試験8割レベル)入試は、高3の一年間をほぼ勉強だけにつぎ込んで合格。
毎日三時間勉強したので、一年間に換算すると、1,000時間。
ただし、その「下地」として、高1〜高2の勉強があったことは、無視できません。
「下地」を完全無視した単純比較だと、「勉強時間」による難易度ランキングは、以下の順番となります。
- 1,000時間 国立大学(センター試験8割レベル)入試合格
- 720時間 TOEIC900点取得
- 120時間 ITストラテジスト合格
高校生は【勉強だけやっていればいい環境】にいる一方、社会人は【仕事のアイマに勉強する環境】ですよね。
正確を期すには、「勉強時間」の大小だけではなく、「勉強時間」の確保困難度も、配慮する必要がありそうですが、数値化は困難だと思います……
「暗記ボリューム」による比較
合格までに覚えなければならない知識量、つまり「暗記ボリューム」で比較してみましょう。
指標としては、合格までに読み込まないといけない「教科書」のページ数(概算)を用いることとしました。
ITストラテジストの場合
ご存知でしたか?
ITストラテジストって、じつは、「超難関」と騒がれる割りに、覚えることが圧倒的に少ない国家資格なんです。
考え方重視、業務経験重視というカラーがあるため、むしろ、試験対策は(量よりも)質の面で苦労する方がほとんどだと思います。
二時間で3,000字を論述する必要のある論文科目は、「質に泣かされる」の代表例とも言えます。
合格するためには、IPAサイトの過去問(五年分)をやることと並行し、以下の2冊を活用すると十分でしょう。
ただし、経営学・会計学の知識が不足気味だと感じる方は、以下の文庫本4冊は必読です。
Amazonや楽天の書評を読んで「これなら知っている」というレベルであれば、読飛ばしてもOKです。
上記の「推薦書物」をすべて読んだとして、ITストラテジストの「暗記ボリューム」のページ数(概算)を出したら、1,615ページ。
ページ数としてはかなり多い印象を受けますが、一字一句暗記するよりは、「考え方」を理解する読み方でOKなので、一度読んだだけでスグ頭に入ってくるでしょう。
書物 | ページ数 |
合格論文の書き方・事例集 | 374ページ |
最速の論文対策 | 164ページ |
これだけ 財務諸表 (日経文庫) | 200ページ |
ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力 | 286ページ |
ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力 ビジネスモデル編 |
271ページ |
ビジネススクールで身につける ファイナンスと事業数値化力 | 320ページ |
なお、過去問(五年分)のページ数は含まれていません。
上記6冊の書物は【暗記事項が少ない】という意味で、もともと、かなり「過剰気味」のページ数になっているため、過去問のページ数は無視しても構わないです。
TOEIC900点の場合
TOEIC900点の「暗記ボリューム」ということになれば、やはり、ボキャブラリー強化が命です。
ボキャブラリーを増やせば、リーディングのスピードアップにもつながり、TOEICのスコアをグーンと急上昇させることが可能です。
スタート時点でのTOEICスコアが、「大卒平均スコア」と言われる400点だとすると、以下の単語集3冊をやりきれば、ボキャブラリーは万全。
これとは別に、TOEIC900点を狙うには、大量の問題演習が非常に重要です。
数多くの問題をこなすことにより、事務処理能力が飛躍的に高まり、TOEICスコア結果にも反映されてきます(TOEICスコアは、事務処理能力も大いに影響)。
文法、リーディング、リスニングで、以下の演習用問題集3冊をやりこめば、対策としては万全。
ちなみに、上述した演習用問題集3冊は、TOEIC900点狙うだけであれば、ちょっとやり過ぎ感があります。
TOEIC900点台の後半を狙うくらいのレベルになっていますので、TOEIC900点を突破するだけであれば、8割くらいのページをやるだけでも十分です。
書物 | ページ数 |
究極の英単語 1 | 493ページ |
究極の英単語 2 | 553ページ |
究極の英単語 3 | 533ページ |
TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問 | 656ページ |
TOEIC(R)テスト 新形式精選模試 リーディング | 364ページ |
TOEIC(R)テスト 新形式精選模試 リスニング | 298ページ |
上気した6冊の教材をこなしたとして、TOEIC900点突破に必要な「暗記ボリューム」のページ数(概算)を出したら、2,277ページ。
国立大学(センター試験8割レベル)入試の場合
国立大学(センター試験8割レベル)入試は、受験科目が多数に及んで暗記事項が多い上、二次試験では記述式問題もあるため、ごまかしがきかないハードさが特徴です。
ざっくりとですが、受験勉強に必要な問題集をリスト化し、ページ数を算出してみましょう。
書物 | ページ数 |
速読英単語1必修編 | 384ページ |
速読英単語2上級編 | 452ページ |
竹岡広信の 英作文が面白いほど書ける本 | 432ページ |
英語長文問題精講 | 271ページ |
チャート式基礎からの数学1+A | 586ページ |
チャート式基礎からの数学2+B | 1,204ページ |
チャート式基礎からの数学3 | 451ページ |
化学重要問題集ー化学基礎・化学 | 327ページ |
実戦物理重要問題集ー物理基礎・物理 | 305ページ |
この時点で既に4,400ページを超えていますが、まだ、センター試験用の国語(現代文・古文・漢文)、社会(地理歴史or公民)が含まれていないことを考えると、5,000ページは軽く超えそう。
「暗記ボリューム」による難易度ランキングは、以下の順番となります。
- 5,000ページ 国立大学(センター試験8割レベル)入試合格
- 2,277ページ TOEIC900点取得
- 1,615ページ ITストラテジスト合格
まとめ:「勉強時間」と「暗記ボリューム」では表現できない【難しさ】
以上、「勉強時間」と「暗記ボリューム」の2軸で、比較を行いました。
いずれの軸でも、国立大学入試 > TOEIC900点 > ITストラテジストという、ランキングに。
勉強時間 (時間) |
暗記ボリューム (ページ) |
特に必要なモノ | |
ITストラテジスト | 120 | 1,615 | IT業界経験 |
TOEIC900点 | 720 | 2,277 | リスニング能力 |
国立大学(センター試験8割レベル)入試 | 1,000 | 5,000 | 記憶力 |
そして、この序列、筆者が体感している難易度と合致しています。
ただ、これだけでは記事を締めくくれないのが、ITストラテジスト特有の「難しさ」なんです。
ITストラテジスト特有の「難しさ」とは?
筆者の知人に、国立大学出身者で、かつ、TOEIC900点を保有しながら、ITストラテジストへ不合格になった人がいます(ちなみに、二度目のチャレンジで、見事合格されました)。
ひと言で言うと、ITストラテジストには、【机上理論と実務を結びつける】という、特有の難しさがあります。
しかも、それを経営陣視点という、企業トップ層の視点で行い、「自らの経験」に基づいて論文試験を突破する必要があります。

役員会議で進言するような視点の高さが求められる
実際のところ、大企業トップ層に対して、最適なIT活用を進言したことのある人なんて、ごく少数だと思いますが、自分が経験したことがないトピックについても、あたかも経験したことがあるかのように、論理的に説明しなければなりません。
「経験したことのないものは書けない」という壁こそ、筆者の知人がぶち当たった課題でした。
経験したことがない領域のテーマに対して【実務経験を問われる】というのは、国立大学入試やTOEIC900点には求められない要素であり、ITストラテジストに特有の「難しさ」なのです。
本記事としては以上になりますが、「未経験者」がいかにしてITストラテジストへ合格するかのトピックについては、別記事として今後取り上げたいと思います。