オフショア開発

オフショア開発の課題【遠隔コミュニケーション】。電話会議やテレビ会議で、うまく表現できないのは英語力不足のせいではないかも知れません

投稿日:2018年12月16日 更新日:

はじめに:海外拠点との打合せ。何でもかんでも、資料画面共有&口頭ベースでやっていないか?

こんにちは、げんごにあです。

時差や距離という、オフショア開発ならではの制約条件を受けながらも、最大限の成果アウトプットを引き出すには、「遠隔コミュニケーション」の質を向上させることが非常に重要であることは、言うまでもありません。

かつての筆者自身そうだったのですが、海外拠点との遠隔ミーティング(電話会議、テレビ会議)は、事前作成した資料(エクセル、パワーポイント)を共有画面で表示しながら、口頭ベースで質疑応答を済ませるというスタイルが主流かと思います。

遠隔地とのコミュニケーション(電話会議、テレビ会議)

遠隔地とのコミュニケーション(電話会議、テレビ会議)

プロジェクトの進捗管理や、組織体制図の説明など、比較的シンプルな議題であれば、この方法でも問題なくコミュニケーションできる一方、ソフトウェアの開発環境や仕様など「込み入った議論」をするときには、そうはいきません。

口頭ベースのコミュニケーションでは、「込み入った議論」が困難なばかりでなく、両チーム(日本側・海外側)の間で大きな「誤解」が生じ、後工程になってから問題が明るみに出て、現場が「てんやわんや」の大騒ぎになる可能性も高くなります。

本記事では、遠隔拠点間(日本 vs. 海外)において、技術的トピックを中心とする「込み入った議論」を、正確かつ効率的に行うため、市販の安価なデバイスを活用して何ができるか、チャレンジしてみた結果をシェアしたいと思います。

予算はないけど、「遠隔コミュニケーション」の課題を解決したい。どうすれば?

東南アジアの子会社から、(日本語教育と技術研修のために)日本へ派遣されてくる若手ITエンジニアの教育担当を五年ほど経験しました。

この経験を通じて感じたのは、(日本人にも、そういう人はいますが……)彼ら彼女らは、疑問点を機関銃のように口頭ベースで発言するため、よく注意して「最後の最後」まで聞かないと、質問の趣旨がつかめないということでした。

ホワイトボード活用によって、「描く」ことの威力を知った

このままだと、聞く側、話す側の双方が疲弊するだけではなく、コミュニケーション効率が、いつまでたっても向上しません。

そこで筆者は、海外の若手ITエンジニアと議論するときは、常にホワイトボードを利用することを心がけました。

コミュニケーションにホワイトボードを活用

コミュニケーションにホワイトボードを活用

その効果はてきめんで、口頭ベースでどうしても分かり合えなかった議題が、ホワイトボードで図や表にして会話をすると、あっという間に話が決着できます。

音声で伝わる情報量、ビジュアルで伝わる情報量の違いに、圧倒されました。

遠隔会議になるとホワイトボートが使えないという困った課題が……

日本での研修を終えた若手ITエンジニアが帰国したとき、今度は、別の問題が起きます。

両者とも、同じ部屋で会話をしている分にはホワイトボードを活用できるのですが、遠隔会議となれば、そうはいかないからです。

インターネットで調査したところ、「遠隔ホワイトボード」なるものを販売しているメーカーが見つかりました。

リコーから「遠隔ホワイトボード」も販売されているが……

リコーから「遠隔ホワイトボード」も販売されているが……

品物自体は興味深かったのですが、大型で置き場所を取る上、価格がウン十万円という世界であるため、そう簡単に導入することはできなさそうです。

収納スペース、予算の問題だけであれば、もう少しコンパクトで安価な、iPadなどのタブレット、あるいはSurface端末を導入すれば良かったのですが、「社内標準」とは異なるデバイスを導入するとなれば、いろいろな「面倒」やら「手続き」がつきまとうであろうことは目に見えています。

一万円ちょっとの「ペンタブレット」こそ、探し求めていたソリューションだった

職業イラストレーターをしている友人との会話で、「Wacom社のペンタブレットがすごくいい」という情報を聞きつけました。

絵心のない筆者は、これまでペンタブレットを触ったこともなかったのですが、インターネットで少し調べるだけでも、Wacom社のペンタブレットが世界中で信頼を勝ち得ていることは、すぐに理解できました。

■Wacom社のペンタブレットがすごい理由

  • 全世界の電子ペンタブレットにおいて、Wacom製品のシェアは八割を超える
  • 『美女と野獣』の制作で、ディズニーからWacom製品が採用された
  • 価格も、「一万円ちょっと」という手頃な設定になっていること

追い風となったのは、利用していたパソコンのOSがWindows 10へ移行することになり、Windows 10にはWindows Inkなる、標準のソフトが附属していることでした。

Windows Inkと、Wacom社のペンタブレットを組み合わせることによって、パソコンを買い替えることなく、海外のITエンジニアと、まるで「隣同士にいる」かのように、ディスカッションできることを確信しました。

描画オプションも充実した「Windows Ink」

描画オプションも充実した「Windows Ink」

オススメ機種と、選定理由

筆者が購入したのは、こちら。

ちょうど、ノートパソコンと同じくらいの大きさ(216.0 x 135.0 mm)です。

Wacom社のサイトは、若干、サイトの階層構造が分かりづらいですが、標準的なペンタブレットとしては、以下の2モデルが販売されています。

  • Wacom Intuos
  • Wacom Intuos Pro

プロのイラストレーターなら、間違いなく「Pro」を買った方が良いですが、ITエンジニアとして、走り書き程度のメモをするのであれば、Wacom Intuos(Proでない方)でも十分実用的だと言える性能であるため、心配の必要はありません。

また、Wacom Intuosには、Sサイズ(152.0 × 95.0 mm)とMサイズ(216.0 x 135.0 mm)の2種類が用意されていますが、ここは迷わずMサイズにしておくべきです(Sサイズだと、細かな情報を書き切るのが難しくなるため)。

利用してみて感じたこと

ペンタブレットを購入するまでは、「マウスで十分かも?」と思うこともありましたが、実際に使ってみて、ペンタブレットには入力スピートにおいて、圧倒的な優位性があることを体感できました。

また、「ペンタブレットの操作に慣れるまで大変?」という不安もありましたが、ハードウェアの素晴らしさ(筆圧センサーなど、Wacom社の製品)に加え、ソフト側のWindows Inkがかなり「手書き」に近い感覚で使えるよう改良されているため、スムーズに利用開始することができました。

ノートパソコンと同じくらいのサイズ

ノートパソコンと同じくらいのサイズ

具体的には、以下のような利用用途で、大変重宝しています。

  • 利用部門(ユーザ部門)の業務フローをざっくりと図示
  • ソフトウェア開発環境(開発者PC、DBサーバー、PHPサーバーの関連)の図示
  • コーディング時の実装デザインについて、大まかな方向性(アイデア)の図示

言葉では、あれだけ伝わりにくかった内容が、ペンタブレットの導入一つで、見違えたように推進しやすくなりました。

もっと早く導入しておけば良かったと後悔したほどです。

まとめ:相手側(海外)のITエンジニアから寄せられた感想など

導入から半年ほどが経過していますが、相手側(海外)からの反応は上々です。

以下のような点において、以前よりもコミュニケーションが取りやすくなったというフィードバックが得られました。

  • ソフトウェア設計(ロジックの構造)のアイデア交換
  • ソフトウェア修正箇所や、修正方向性のアイデア交換
  • ソフトウェア開発環境構築に関するアイデア交換

実を言うと、当初、相手側(海外)でのタブレット導入への関心は薄く、まずは日本側だけで導入することになったのですが、運用を始めて一ヶ月たらずで、相手側も【真価】が理解でき、購入してくれました。

オススメなのは、相手側(海外)、日本側の両拠点が一台ずつ購入した上で、一枚の「共有用紙」に書き込めるように会議を推進するスタイルですが、筆者のように、相手側(海外)から積極的な感触が得られなかった場合には、まずは自分たちで使い始めて、その効果をデモするというアプローチが良いと思います。

一万円ちょっとの投資で、オフショア開発で抱える「遠隔コミュニケーション」の課題へ対して、有効な一手を打てると思えば、破格的コスパとも言えます。

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